
日本産漆と国宝・重要文化財修復
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堤淺吉漆店は、日光東照宮をはじめ、国宝・重要文化財建造物の修復に漆を提供しています。これらの社寺仏閣には日本産の漆が使用され、その多くを当社が納めています。
漆掻き職人・生産者と実際に漆を使用する職人との間に入る私たち漆屋は、その繋ぎ役として両者の立場や要望を理解し、原料となる荒味漆の調達、高品質の漆精製・調合、そしてそれらをできるだけ安定的に供給することが求められます。漆の品質は大前提ですが、確かな生産管理体制とマネジメント力が問われます。原料仕入れから製造、出荷までを一貫して自社で行なっている当社は、徹底した品質管理と生産体制を持つ稀有な漆屋です。


修復現場で評価される「光琳漆」の特性
当社が選ばれるもう一つの大きな理由が自社開発した「光琳漆」の性能にあります。光琳の特徴の一つが従来製法漆よりも初期劣化を遅らせることが出来る耐候性の良さ。屋外建造物の漆塗り替え修復において、紫外線による劣化は大きな悩み。光琳は漆の粒子を細かく分散させることで塗膜強度を増し、屋外でも従来の漆より光沢を永く保持します。京都市産業技術研究所による促進耐候性試験では、従来製法漆や三本ロールミル製法として知られるMR漆よりもはるかに光沢を永く保持する結果が実証されています。
しかし、その試験はあくまでも一つのデータに過ぎません。光琳漆も紫外線には劣化します。では、なぜ文化財修復の現場で選ばれるのか。それは、日光東照宮をはじめ、それぞれの現場でその環境下において独自にテストを繰り返し、その結果、従来の漆に比べて、光琳の性能・効果を現場レベルで評価頂いているからです。
光琳漆は、国宝・重要文化財修復には欠かせない漆として、今後も品質維持向上しながら、ご要望にお応えしていきたいと考えております。もちろん、生漆や艶消漆など、文化財修復における目的用途に適した光琳漆以外の漆もご期待にお応えすべく製造しております。