アサギ椀

今は亡き木地師が願った、江戸時代に庶民が愛用したというアサギ椀の復興。その遺志を受け継いだ木地師とのご縁から、京北産の檜(ひのき)を使用した美しい漆のお椀が生まれました。

自然と暮らしをつなぐものづくりの輪を、未来へと受け継いでいきたい。アサギ椀プロジェクトは、京漆器の後継者を育成する取り組みでもあります。大きな課題に直面しているものづくりの現場で作り手たちの思いが重なり合い、多くの人の共感を呼びました。

口に運ぶ器にこそ漆を

僕たちはこれまで、サーフボードやスケートボード、自転車など、伝統工芸の枠組みを超えた漆の活かし方を提案してきました。しかし一方で、肌に触れる床や家具、そして何より口に運ぶ器にこそ、漆を使ってほしいという思いを持っています。漆は安心して使用できる自然素材であり、その存在感が自然と美しい所作を育んでくれるからです。

職人の仕事を残したい

京都では、茶道具をはじめとする、この土地ならではの伝統技術が受け継がれてきました。熟練の職人たちは、光に透けるほど薄く削った木に漆を施し、100年以上使い続けられる漆器を生み出します。しかし、モノが溢れる現代において、職人の手仕事が求められる場面は年々少なくなっています。若い人が工芸の職人を志しても、作るものがなく修行ができない。そんな現状をなんとかしようと、アサギ椀プロジェクトだけでなく全国各地で様々な活動が行われています。

使う人のことを思いながら作られた器

似たかたちに見えるお椀でも、よく観察すると、高台のサイズや丸いフォルムを形作る曲線、胴体部分の厚みなど、随所に作り手の思いが表れていることがわかります。どんな人がどんな風に使うのか、生活のシーンを思い浮かべながら、かたちを決めていくのです。

胴体を支える高台が高く、凛とした佇まいのアサギ椀。とても京都らしい上品な器です。子供椀は、あえて大人椀をそのまま小さくしたかたちに。手のひらでしっかり包み込んで、おつゆや麺をいただきます。器を大切に扱うことで、食べ物への感謝の心が育まれると考えました。

漆のこと、工芸のことを知ってもらうきっかけに

今は亡き木地師の石川光治さんが京漆器の文化を次世代につなぐために作ろうとした、日常使いのお椀。その意志を受け継いだロクロ木地師の西村直木さん、そして、直木さんの技術を守ろうと動き出した塗師の西村圭功さん。堤淺吉漆店の他にも多くの人が仲間に加わり、アサギ椀が完成しました。このプロジェクトがきっかけになって漆や工芸を好きになってくれる人がいたら、とても嬉しく思います。

■アサギ椀 商品ページは、こちらから

https://www.kourin-urushi.com/?pid=169587298

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Credit

「アサギ椀 プロジェクト」メンバー

発起人:

石川光治(故人 石川漆工房)

西村直木(ロクロ木地師)

運営メンバー :

石川良(石川漆工房)

堤卓也(堤淺吉漆店)

西村圭功・西村洋子(西村圭功漆工房)

ロクロ木地師見習い:

永井綾 

上田量啓 

塗師見習い:

飯島勇介 

後藤久美 

協力:

比嘉明子(京都市産業技術研究所) 

松山幸子 

写真:

宮下直樹(Terminal81)